アパート経営のノウハウ

投資物件の健全性を知る目安となる「LTV」とは?

2020.07.10

不動産投資は、投資家が投資対象の特性を正しく理解するために、さまざまな指標が用いられます。「利回り」はその代表的なものですが、それだけで判断するのは危険。複数の指標を見ながら、総合的に物件の良し悪しを判断すべきでしょう。今回は、不動産投資で用いられる重要な指標の一つ、「LTV」を取り上げます。LTVとは何か? その計算方法や種類について見ていきましょう。

借入金への依存度を表すLTV

LTVは「Loan To Value」を略したもの。日本語では「総資産有利子負債比率」と訳されます。内容はまさに日本語訳の通りで、物件の不動産価格(総資産)のうち、借入額(負債)の割合を示したものです。この指標から、物件所有者がどの程度、借入金に依存しているのかを判断できます。LTVの計算方法はシンプルで、「物件購入に要した借入額」を「不動産価格」で割ったもの。つまり、自己資金のみで借入金がない場合はLTV0%、逆にフルローンを組んでいる場合はLTV100%となります。「不動産価格」の算出方法については単純に購入価格を用いる「簿価評価」と、市場価格や評価額を用いる「時価評価」の2つの算出方法があります。この2つについては後述します。

一般的に、不動産投資におけるLTVは80%以下が理想的といわれています。例えば5,000万円の物件の場合、頭金として20%にあたる1,000万円を支払い、残り4,000万円を借り入れている状態はLTV80%となります。この不動産投資におけるLTVは、投資家が投資を行う際の判断基準の一つとして用いられますが、そのほかにも銀行などの融資元がローンの審査を行う際の判断基準としても使われます。例えば、サラリーマンが不動産投資のためにローンを組む場合、銀行などの融資元はLTVの数値が高いほどリスクが大きく、財務健全性が低いと判断するため、ローンが組みにくい傾向にあるのは事実です。また、自己資金の投入割合が多い=LTVの数値が低い物件の方が、金利の低いローンを組みやすい傾向にあり、その後の利回りにも関わってきます。ローリスクな投資先を狙いたいなら、LTV80%以下を目安とするのは妥当な判断でしょう。

しかし、自己資金が少なくても、例えばシノケンのような専門の会社を通じてアパート経営などを行うことは可能です。これは、個人ではなくこうした会社の実績や信用が金融機関にあるからです(詳しくはこちら)

また、価格変動の大きな物件で、所有者が短期での資産売却を前提としている場合には、あえてLTVを高くし、自己資金の資金効率を高めている場合もあります。このためLTVはあくまで投資判断において参考になる指標の一つとして理解しましょう。

LTVは「不動産価格」の算出方法で評価が変わることも

前述の通り、LTVは「物件購入に要した借入額」を「不動産価格」で割ったものですが、この「不動産価格」は大きく2つの評価方法があります。どちらを採用するかは、金融機関などによって異なりますが、主に不動産価格に「簿価評価」を用いる場合と、「時価評価」を用いる場合があります。

「簿価評価」は単純に不動産価格を会計帳簿に記された評価額、または購入価格とするもの。購入後の価格変動は考慮せず、売却時に初めて損益が確定します。それに対し「時価評価」は、不動産価格をLTV算出時点での市場価格や評価額とする計算方法です。この計算方法には、現時点における物件の健全性をより正確に判断できるというメリットがあります。価格変動が激しい地域にあり、取得時の価格と時価に開きがある物件では特に有効な指標と言えるでしょう。また、時価ではなく、期末などに発表される鑑定評価額を用いる場合もあります。

ちなみにLTVは不動産への直接投資だけでなく、証券会社を通じて投資家から資金を調達し、不動産に投資するREITでもよく用いられる指標です。その場合、総資産を単純な不動産価格でなく、有利子負債と出資総額(出資剰余金を含む)を足した金額で評価することもあります。

不動産投資のプロに相談することがリスク回避に

LTVは、直接的な不動産投資や投資信託において、重要な指標であることは間違いありません。しかし、前述したように投資先のポテンシャルやリスクは、さまざまな指標から総合的に判断することが大切です。投資先のポテンシャルやリスクを個人で判断する場合は、知識と経験が求められ、情報を分析するための時間も要します。投資を始めるためには、もちろん個人の知識や経験は大切ですが、信頼できる不動産投資のプロを見つけることが成功に繋がるのではないでしょうか。

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最終更新日:2020.07.10

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