アパート経営のノウハウ

不動産経営の3大経費! 節税効果も見込める「減価償却」とは?

2020.07.02

会社や個人の会計をするとき、必ず出てくるキーワードの一つに「減価償却」「減価償却費」があります。ただ、なんとなくは分かっているけど正確な意味を知らない、どんな場合に減価償却費に計上できるのか分からない……という方は少なくないのかもしれません。この記事では、減価償却とは何なのか? 減価償却費に計上すべき項目と、そうでない項目にはどのような違いがあるのか? また減価償却を行うことによる効果について、解説します。

必ず知っておくべき「減価償却」と「減価償却費」

減価償却とは

減価償却は、建物や車といった資産となるものを購入したときに、その購入代金を一度に経費にするのではなく、分割して少しずつ費用として計上する仕組みのことを言います。

例えば木造アパートを2,200万円で建築した場合。その全額を一回の出費として計上するのではなく、毎年100万円を22年にわたって分割しながら計上していきます。資産の中には、経年によって少しずつ価値を失っていく部分(=減価)があります。そのため資産の内容ごとに耐用年数を定め、資産価値がなくなるまで、分割して計上していこう、というわけです。

もし、購入代金を一度に費用計上すると、どのようなことになるのでしょう? 出費が収入を大幅に上回り、購入した年度だけが大きな赤字、翌年度以降がずっと黒字……ということになりかねません。すると経営の浮き沈みが激しい事業であると判断され、銀行からの融資などを受けにくくなってしまいます。またケースによっては、通算して多くの所得税・住民税等を納めることになるかもしれません。事業の経営状態を実態に即したものにするために、減価償却という仕組みがあるのです。

減価償却費とは

「減価償却費」は、減価償却した分の金額を計上するための勘定科目です。

会計をしたことのある人なら、支出や収入を計上するときに「事務用品費」「広告宣伝費」「会議費」など用途ごとに分類することをご存知でしょう。これは、使用目的によって課税の対象・対象外などの判定が変わるためです。こうした分類するための項目を「勘定科目」と言い、「減価償却費」は勘定科目の一つであり、損金として扱います。

減価償却の注意事項

資産だからといって、全てのもので減価償却費を計上できるわけではありません。減価償却できる資産には、「業務で使用している資産であること」「時間が経つにつれて劣化する資産であること」という条件があります。この条件に当てはまる資産なら、電化製品や設備などの有形固定資産だけではなく、ソフトウェアなどの無形固定資産も減価償却することができます。

資産が賃貸アパートやマンションなどの住宅の場合、建物は上記の条件に当てはまりますが、土地や借地権は「時間が経つにつれて劣化する」性質ではないため、減価償却できません。休眠中の建物や稼働していない資産など、使用可能期間が1年未満の資産についても同様です。

また、購入した金額によるルールもあります。10万円未満のものについては消耗品費などとして、全額を損金として算入することができます。固定資産計上して減価償却することも制度上は可能ですが、一般的には全額損金算入した方が税額を低く抑えられるため、資産ではなく費用として扱うのが通例です。

10万円以上の場合については、原則的に全額損金算入できず、減価償却することになります。ただし、取得価額が20万円未満の場合には「一括償却資産」という制度があり、耐用年数(下記参照)にかかわらず、3年間に分けて均等に償却することが可能です。

さらに青色申告している中小企業や個人事業主は、「少額減価償却資産の特例」を受けることができます。これは30万円未満で取得した資産(年間総額300万円まで)について、全額損金算入できる……という特例です。景気浮揚を目的として期間限定で設けられた減税政策ですが、現時点(2020年5月現在)で2022年3月末まで期限が延長されました。税額をできるだけ減らしたい人にとって、大変便利な制度と言えるでしょう。

取得価額ごとの会計処理方法について、より分かりやすくするため表にまとめました。「少額減価償却資産の特例」は、10万円未満の資産については適用されません(通常の減価償却、一括償却、全額損金算入は可能)。

 

建物の耐用年数と償却率の計算法

建物の耐用年数

減価償却は耐用年数の全期間にわたって行わなければなりません。では、耐用年数はどのようにして求められるのでしょうか。

耐用年数は「現実にどれだけの期間、使うことができるのか」ではなく、資産の種類ごとに細かく定められた法定耐用年数に従う必要があります。例を挙げると、軽自動車の耐用年数は4年、普通乗用車が6年、パソコンは4年、カメラは5年となっています。

それでは、建物の場合はどうでしょう。建物の耐用年数は構造と用途によって異なり、「鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造(マンション等)」が47年、「軽量鉄骨造」が19〜34年(骨格材の肉厚による)、「木造・合成樹脂造(アパート等)」が22年と定められています。詳しくは国税庁HPの「耐用年数(建物/建物附属設備)」のページをご参照ください。
※いずれも住宅用途の場合

償却率

減価償却する金額の求め方には、「定額法」と「定率法」の2種類があります。「定額法」は取得価額を単純に耐用年数で割った数字であり、毎年、同じ金額を減価償却費として計上することが特徴。シンプルで分かりやすい計算方法と言えるでしょう。

一方で「定率法」での減価償却費は、「未償却残高(購入年度は取得価額)× 定率法償却率」という計算式で求められます。定率法償却率は耐用年数ごとに定められており、購入当初ほど金額が多く、耐用年数に近づくほど金額が少なくなるのが特徴。より実際の資産価値に近い計算方法と言えます。

どちらを用いるかは固定資産の種類により選択できるものありますが、建物の場合は「定額法」の一択。「平成10年4月1日以後に取得した建物の償却方法は、旧定額法又は定額法のみ、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備及び構築物の償却方法は定額法のみ」と定められています。

減価償却を使いこなして上手に節税対策

資産を活用して節税対策するなら、減価償却を使いこなすことが大切。ポイントは「耐用年数」にあります。例えば予算が同額の場合、鉄骨鉄筋コンクリート造などのマンションよりも木造などのアパートを購入した方が、単年度で計上できる減価償却費は増えるのです。これはマンションとアパートで耐用年数が大きく異なるためです。

上記はあくまで一例ですが、収支を正しく計上しながら、上手に節税対策を行うことは可能です。そうした経営、節税のノウハウについては、アパート経営・不動産投資のパイオニアであるシノケングループにお任せください。お客様の資産状況に応じて、適切な経営プランをご提案します。詳しくは、下記URLからどうぞ。
 

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最終更新日:2020.07.02

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