
【ふくおか経済】中間期は10・5%減収、インドネシアで不動産ファンド、全アパートメントにIoT装備
投資用アパートメント・マンション販売の子会社を傘下に持つ㈱シノケングループ(福岡市中央区天神1丁目、篠原英明社長)の6月第2四半期決算(累計)は、売上高は前年同期比13・2%減の507億7500万円、経常利益は同10・4%減の55億6200万円で減収減益となった。
主力のアパートメント販売が前年下期の個人向け融資審査期間の長期化等によって大幅減。営業利益は10・5%減の60億9200万円、当期純利益は8・7%減の38億3900万円となった。事業別には、不動産セールス事業はマンション販売が前年同期を上回ったものの、アパートメント販売減の影響で前年同期比26・0%の減収となった。一方で賃貸管理、家賃等の債務保証などの不動産サービス事業、ゼネコン事業、LPガス・電力小売のエネルギー事業、介護関連のライフケア事業などその他の事業はすべて前年同期と比べて増収増益となり、全体では、5月に上方修正を発表した第2四半期(累計)の連結業績予想を売上高で約1・5%、経常利益で約11・2%上回っている。
今回の決算について篠原社長は「去年の第2四半期は非常に業績が伸びた時期で、それに比べると低い数字だが、期首の計画を大きく上回って推移している。新規のアパートメント用地仕入れも抑制していたが、用地在庫が少なくなってきたため7月からは販売物件確保のため用地仕入れを再強化している」と話している。
同社のインドネシア現地子会社、シノケンアセットマネジメントインドネシア(PT Shinoken Asset Management Indonesia:以下SAMI)は7月、インドネシア金融庁から、不動産ファンドの運営を目的とした投資運用業のライセンスを取得した。今後不動産ファンドやREITを組成し、同国内での不動産投資運用事業を展開していく。
不動産ファンドを運営している企業はこれまでインドネシア内資の3社のみで、外資としては同国初。シノケングループでは不動産ファンド事業として、日本国内で自社開発の賃貸住宅を組み入れた私募ファンドを組成・展開しており、今後インドネシアでも自社開発のアパートメント「桜テラス」シリーズのほか同国内の収益性の高い不動産物件をファンドに組み入れ、同国内だけでなく日本を含めた海外投資家に販売する。
シノケングループでは「SAMIが物件の調達からファンド組成、投資商品の販売、運用、売却まで一貫して行うため、投資家に安心していただける」としており、不動産テックやフィンテックの導入で、日本からでも気軽にインドネシアの不動産に投資できる環境を整えていく考え。
篠原社長は「リート組成については、当社の桜テラスだけでなく、現地のマンション、コンドミニアム、オフィスビルなど50~200億円規模の物件情報が入ってきている。できれば年内に組成し、2~3年で400~500億円規模にしていきたい」と話している。
7月以降受注した全物件をインテリジェントアパート仕様に
㈱シノケングループ傘下のアパートメント販売、㈱シノケンハーモニー(東京都港区、三浦義明社長)は、7月以降受注した全物件をインテリジェントアパート仕様にした。
建物全体・全部屋に各種IoTセンサーを標準装備したアパートメントで、外出先からスマホによって備え付けのエアコンなど家電の遠隔操作ができるほか、スマートロックや室内のセンサーによるセキュリティも備えており、入居者はこれらを無料で利用できる。同社では昨年4月から新築アパートメント向けに「Shinoken Smart Kit」の名称で同様のサービスを提供していたが、アパートメントの購入検討者や既存オーナーから問い合わせ、要望が増えたため、改良して標準装備化した。
来年6月までの一年間で新規物件3000戸への導入を目指すほか、既存の賃貸管理物件約3万5000戸へも要望があれば順次導入予定。シノケングループの篠原英明社長は「ランニングコストが発生しないことが大きなポイント。今後はマンションへの導入や、同一エリア内の物件をつないだインテリジェントビレッジ構想なども視野に入れている」と話している。
ふくおか経済 2019年10月号