
環境激変! アパートローンはここで見極める|2018年最新版
昨今、各金融機関の融資姿勢が厳しくなってきたと言われています。投資用物件を購入するためのアパートローンに関しても、初めての申し込みの場合は特に審査が通りづらくなってきているようです。個人投資家にとって逆風が吹いていると言っても良い状況ですが、申し込み前に事前に押さえておくべきポイントに変わりはありません。審査を通過し、融資をしてもらうためのポイントや、アパートローンの見極め方を見ていきましょう。
住宅ローンとの違いと、金利を低く抑えるためのヒント
アパートローンとは、投資目的で賃貸用の収益物件を購入する際、必要な資金を融資してもらうためのローンです。不動産投資ローン、マンションローンとも呼ばれます。対する住宅ローンは、自分や家族が住むための不動産を購入するために組むローンです。住宅ローンを、投資用不動産を取得する目的で利用することはできません。
一般的にアパートローンは住宅ローンに比べると金利が割高、かつ審査も厳しめの傾向にあります。しかしその分、融資限度額はアパートローンの方が高額になります。
金利に関しては金融機関によってさまざまですが、まずは物件を紹介してもらう不動産会社に問い合わせてみるのがおすすめです。その不動産会社が提携している金融機関がある場合、通常よりも金利が優遇されたり、審査も通りやすくなったりする可能性があるからです。
また金利に関しては、団体信用保険、通称「団信」加入時に上乗せされる金利を省くことで、低く見積もった金利を提示する不動産会社もあるので注意が必要です。金利は低ければ低いほど良いように思えますし、加入しない場合のリスクを承知の上で金利を優先するのであれば、それも「あり」かもしれません。しかし、余程の理由がない限り基本的には「団信へは加入するもの」と考えておいた方がよいでしょう。極端な低金利には“訳あり”な可能性があります。後々大きなリスクを抱えることにならないよう、見せかけの数字に惑わされないよう注意したいですね。

ちなみに、変動金利の方が固定金利よりも低くなるのはアパートローンも住宅ローンも同じです。とはいえ、インフレになると必然的に金利は下がります。「変動か固定か」も、目先の利益にとらわれず長期的な視野で選択したいところです。
「最後の砦」と言われたスルガ銀行のアパートローン
多数の個人投資家たちを巻き込み、テレビのニュース番組等でも大きく報道された「シェアハウス投資」問題に事実上加担していたのでは、とも言われ何かと話題のスルガ銀行。当初スルガ銀行も不動産会社の「被害者」とされていましたが、一転糾弾される立場に置かれています。事業計画の見通しの甘さも指摘されていますが、問題はそれだけではありません。このニュースから学べるポイントを見ていきましょう。
もともとスルガ銀行のアパートローンは、他行に比べ金利は高めであるものの、他行の審査に通らなかった人でも融資が受けられる場合があることや審査スピードの速さから、個人投資家たちの間で人気の金融商品でした。
しかし件の事件について調査が進むにつれ、審査の際に通帳や源泉徴収票、確定申告書等の偽造・改ざんを支持、もしくはあえて見過ごすことで、本来審査に通らないはずの申込者に不正融資を行なっていたのではないか、という疑惑が持ち上がってきているのです。
このアパートローンを利用してシェアハウス投資を行なっていたのは、ある一定以上の年収があるサラリーマンや公務員といった高い属性の投資家たちが中心と言われています。言い換えれば、シェアハウス投資の事業計画が破綻したとしても、月々の給与でローン返済を行なうことができる、つまり「回収の当てがある」と判断された投資家たちです。
先述の通り、スルガ銀行のアパートローンは金利が高めに設定されています。審査が通ってローンを組めたとしても、投資が上手くいかなくなれば元本返済だけで手一杯になってしまうでしょう。もともと自己資金が乏しいのであればなおさらです。事実、前述のシェアハウス投資では多額の借金を抱えることになってしまったサラリーマン投資家たちが今も返済に苦しんでいます。属性が良い人向けであることに加え、かなりの投資玄人向けの金融商品であったと言わざるを得ません。
「審査に通り、ローンが組めた」というとその時点でほっとしてしまいがちですが、それ自体は不動産投資の成功を保障してくれるものではありません。もちろん、大半の金融機関では個人の属性だけでなく、投資物件の収益性や事業計画の妥当性を含めた厳しい審査が行われるはずです。ですが、1つのローンの審査に通ったからといって、あまり楽観的に考えるのは危険かもしれません。良い意味で、疑い深くなることも必要です。

きちんと収支計算をして、経費等を除いた手取り金額を計算しておかないと、金利によっては実は毎月赤字……、ということにもなりかねません。アパートローンは必ず複数の金融機関の商品を見比べ、比較して申し込んでみることが大切なのです。
アパートローン審査のポイント
細かい審査基準は金融機関によって異なりますが、アパートローンの審査で重視される基本的なポイントを押さえておきましょう。
1.物件の収益性や資産価値
アパートローンの審査で最も重視されるのがこちら。要は「家賃収入やその物件・土地を売ったお金でローンを返済できるのかどうか」を見られるわけです。事業計画の妥当性や、不動産会社の信用度の高さが審査にも大きく影響します。
信頼できる不動産会社を選ぶには、その不動産会社の「提携機関の多さ」を見ると良いでしょう。提携金融機関が多い業者はそれだけ実績のある手堅い業者であると判断され、審査でも有利です。反対に、提携機関が少ない不動産会社を選ぶと「実績がない業者の紹介」と判断され、融資してもらえないリスクが高まったり、そもそも事業計画に妥当性がなかったりします。ニーズの高い収益物件を確保し、堅実な事業計画を立てるためにも、パートナー選びは慎重に行ないましょう。
2.個人の属性
他のローン同様に、申込者本人や連帯保証人の属性、資産状況も審査されます。いわゆる「金融ブラック」である場合は当然、審査通過は難しいでしょう。
申込者が公務員や上場企業に勤めるサラリーマンの場合、貸し倒れの心配が少ないと判断されるため審査にも有利です。そのほか保有資格も忘れずに記入しましょう。特に、宅建士などの不動産投資に関係ある資格を持っていると個人の信用度が上がります。保有している場合は、必ず記入しましょう。
繰り返しになりますが、アパートローンはそれぞれの金融機関や担当支社、支店によっても重視する判断ポイントが異なるため、検討段階で複数行を比較するのが基本です。初めての申し込みの場合は特に、審査の目も厳しくなります。1行に断られたからといって諦めないことが大切です。金融機関によってはサイトから事前審査を受けることができるため、こうした仕組みも利用すると時間のロスを削減できますよ。
アパートローンを上手に使えば、現時点で自己資金があまり多くなくとも不動産投資をはじめることができます。貯金が貯まるのを待つことなく、将来に向けた堅実な資産運用を開始することができるのです。
とはいえ、利用するアパートローンの金利や投資物件、そして不動産会社は慎重に選ばないと「かぼちゃの馬車」のように破綻してしまう可能性もゼロではありません。
不動産投資は決して一攫千金を狙うギャンブルではありません。信頼できるパートナーと共に、ニーズのある土地や建物を選ぶこと。そして現実的な事業計画を立て、自分に合ったアパートローンを探すという地道な努力の積み重ねこそが、長期的な資産形成をしていくための第一歩ではないでしょうか。